TM-D710はとても多機能なトランシーバーで、日頃からAPRSを楽しんでいらっしゃる方なら1台は持っているのではないでしょうか。特に、1200bpsと9600bpsのモデムを内蔵しているので、使い勝手がとてもよいです。
日本で、APRSの標準運用周波数は、1200bpsが144.66MHz、9600bpsが144.64MHzになっています。今回のBlogでは、TM-D710を1台で両方のAPRS I-Gateを同時に動かす方法を紹介します。
基本構成として、左のAバンドが144.64MHzで9600bpsを、右のBバンドが144.660MHzで1200bpsを担当します。
まず、通常の手順でAバンドを使い9600bpsのI-Gateを構成します。詳しい設定手順は、TM-D710の取扱説明書や、解説書(1)(2)などを参考にしてください。
続いてBバンドで1200bpsのI-Gateを構成します。TM-D710の内蔵モデムは9600bpsで使っていますので、外付けモデムを使います。わたしは、Argent Data SystemsのTracker3を使いました。BバンドはAPRSのI-Gateというよりも、EchoLinkなどのVOIPアクセスポイントを構成するような形とし、TM-D710本体裏面のDATA端子からオーディオとしてAPRS信号を送受信することになります。
Tracker3 などのAPRSインターフェイスを使わなくても、EchoLinkのインターフェイスを流用し、AGWPEなどのソフトウェアモデムを使ってもできるかもしれません。わたしは、試したことがありませんが、Tracker3のような外付けAPRS専用モデムを使わなくてもよいので、面白いかもしれません。
パソコンでは、I-GateアプリとしてUIView32を2つ同時に走らせていますが、別のアプリでもできると思います。シリアルポートを別々に設定すれば、同時に二つのUIView32インスタンスを走らせても問題ありません。
TM-D710は2波同時受信が可能ですので、144.66MHzで1200bpsのAPRS信号、144.64MHzで9600bpsのAPRS信号を同時に受信し、それぞれ対応しているUIView32を通してAPRS-ISシステムへフィードすることが出来ます。
一方、2波同時送信は出来ません。1200bpsと9600bps両方から同時にパケット送信の要求がTM-D710へ入ったらどうなるか、大丈夫、TM-D710がきちんとアービトレーション(仲裁)してくれます。見た感じ、1200bps送信中に9600bps送信要求がCOMポートから来た場合は、9600bps送信は一旦バッファリングして、1200bps送信後に送信してくれているようです。逆に、9600bps送信中に1200bps送信要求がDATAポートから入ってきた場合は、バッファリングせずに、そのまま捨てているように見えます。違うかもしれません。それでも、パケットがとぎれとぎれになることはありません。
TM-D710、よく出来ていますね。すばらしい無線機です。
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